1月。
年が明けても、父母会長の仕事は一区切りつかない。
むしろ――
ここからが本番だった。
卒団式当日、「やり直し」はきかない
卒団式当日の朝。
会場に集まる保護者、子どもたち、指導者。
空気はどこか張り詰めていた。
- 段取りは合っているか
- 動画はちゃんと再生されるか
- 名前や成績に間違いはないか
一つでもミスがあれば、
「一生に一度の卒団式」は、簡単に台無しになる。
誰も口には出さないが、
「失敗しないでほしい」という視線は、確かに感じていた。
無事に終わった、でも…
結果として、卒団式は大きなトラブルもなく終わった。
子どもたちは笑い、
保護者は写真を撮り、
指導者は言葉をかける。
「良かったね」
「無事終わってよかった」
そう言われるたびに、
胸の奥で少しだけ力が抜けた。
でも――
心から「終わった」とは思えなかった。
なぜなら、
次のイベントが、すでに控えていたからだ。
初めての“大きな遠征”
1月のもう一つの大きな仕事。
企業主催の野球教室への遠征引率。
- 集合時間の設定
- 移動手段の確認
- 遅刻者が出た場合の対応
- 現地での行動ルール
いつもより距離がある分、
「何か起きたら取り返しがつかない」という緊張感があった。
子どもたちは楽しみで仕方がない。
でも、大人は違う。
頭の中では、常に最悪のケースを想定していた。
「早く着きすぎる」という失敗
当日は、全員無事に集合。
移動も順調だった。
ただ一つだけ、想定外だったことがある。
早く着きすぎた。
遅れるよりはいい。
でも、待ち時間が増えるということは、
- 子どもが疲れる
- 集中力が切れる
- トラブルが起きやすくなる
遠征の難しさを、身をもって知った瞬間だった。
子どもは楽しんでいた、それが救いだった
それでも、野球教室が始まると、
子どもたちの表情は一気に変わった。
- プロの動きに目を輝かせ
- 普段と違う空気を楽しみ
- 純粋に野球を楽しんでいた
その姿を見て、思った。
「ああ、やってよかったな」
この一言がなければ、
正直、心は折れていたかもしれない。
少しずつ、見え始めたもの
1月が終わる頃、
ふと頭をよぎった考えがある。
楽しいイベントほど、
裏側は大変だ。
そして、その大変さは、
やっている人にしか見えない。
まだ、このときは気づいていなかった。
この積み重ねが、
春に向かって、
確実に自分と家族を追い込んでいくことを。
次回予告(第4話)
2月。
節分イベントと、今季初の公式戦。
イベント運営と勝負の世界。
どちらも「簡単」では済まされない現実が、
一気に押し寄せてくる。



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