5月。
大会会場を聞いた瞬間、
胸の奥が、少しだけざわついた。
見覚えのある景色
グラウンドに足を踏み入れたとき、
一瞬、時間が巻き戻ったような感覚になった。
- バックネットの位置
- ベンチの配置
- 外野の広さ
- 土の匂い
ここで、俺は高校球児だった。
公式戦をやった。
緊張した。
負けた試合も、勝った試合もあった。
その場所に、
今は――
自分の子どもが立っている。
親になると、景色が変わる
あの頃の自分は、
- 勝つこと
- レギュラーを取ること
- 結果を出すこと
それしか考えていなかった。
でも今は違う。
- ちゃんと立てているか
- 怪我をしないか
- 緊張しすぎていないか
自然と、
見る視点が変わっていた。
父母会長としての現実
感慨に浸っている暇は、ない。
- 本部対応
- 連絡
- 段取り
- 時間管理
気がつけば、
いつもの“運営側の目”に戻っていた。
それでも、
ふとした瞬間に目に入る。
バッターボックスに立つ息子。
ベンチから声を出す娘。
勝ち負けよりも、時間
試合の内容は、
正直、派手じゃなかった。
圧勝でもない。
劇的な展開でもない。
でも、
この日はそれでよかった。
交差する時間
高校生の頃の自分。
今、父として立っている自分。
そして、野球をしている子どもたち。
同じグラウンドで、
三つの時間が、静かに重なっていた。
「続いている」という事実
勝てなかったとしても。
上手くいかなくても。
それでも、
- 野球を続けている
- グラウンドに立っている
- バットを振っている
それ自体が、
もう十分すぎるほどだった。
親として思ったこと
もし、あの頃の自分に言えるなら、
こう言うと思う。
野球は、
勝つためだけにやるもんじゃないいつか、
自分の子どもが同じ場所に立つそれを見るために、
続いていく時間もあるんだぞ
静かに終わる一日
大会が終わり、
グラウンドを後にするとき。
特別な言葉は、なかった。
大きな感動の演出も、ない。
ただ、
胸の奥に、
確かなものが残っていた。
次回予告(第9話)
6月。
娘の女子選抜。
出られなかった悔しさ。
Tボール大会では、
トラブル続出、試合遅延。
そして、
地域の草刈り。
「うまくいかない日」が重なる月に入ります。



コメント